映画 『チャップリンの独裁者』 カットシーン、 出演者

出典: 20世紀・シネマ・パラダ イス
http://cinepara.iinaa.net/The_Great_Dictator.html

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The Great Dictator

       チャップリンの独裁者
        The Great Dictator
        監督:チャー ルズ・チャップリン
        (1940年/アメリカ)
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  ヒトラーの独裁政治を痛烈に風刺したチャップリン最大のヒット作

 1918年。 第1次世界大戦中、トメニア国(架 空の国)陸軍のチャーリー2等兵は、勝利を信じて奮闘していた。
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 チャーリーは味方からはぐれてしまったが、 同国空軍 の将校を助け出し、彼の飛行機で本国の司令部に向かって飛び立った。しかし、燃料が切れて墜落。2人とも一命は取り留めたが、トメニア国は敗戦した。
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 墜落の際に負傷したチャーリーが病院にいる間に、トメニア国では反乱が起こり、彼にそっく りなヒンケル総統が独裁政権を樹立していた。ヒンケルは、国民へ向けた演説で、民主主義と言論 の自由をこき下ろし、ユダヤ人問題について言及していた。
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 チャーリーが病院へ収容されてから数年が経っていた。しかし、彼は記憶喪失症で、数週 間前に自分の店(床屋) から運び込まれたと思い込んでおり、トメニア国の政変の事も全く知らなかった。
 ある日、チャーリーは病院を抜け出し、ユダヤ人街にある自分の店に戻った。
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 店の中は蜘蛛の巣だらけ。チャーリーが唖然としている時、店の前に来た突撃隊員が、窓に白 ペンキ で「JEW(ユダヤ人)」 と書いて立ち去った。その文字を消そうとしたチャーリーは突撃隊員に暴行を受けたが、近所に住む娘ハンナの 力添えで突撃隊員を撃退した。
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 暫らくすると、通報を受けた突撃隊員が大勢押しかけて来て、チャーリーは捕まってしまっ た。
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 チャーリーがその場で吊るし首にされそうになった時、突撃隊の隊長が現れた。隊長は、 チャー リーが戦場で助けたかつての空軍将校シュルツだった。シュルツは、チャーリーとハンナには手 を出すなと隊員たちに命じてくれた。
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 独裁者ヒンケル総統は、日々分刻みのスケジュールに追われていた。
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 トメニア国内では、毎日数千人の不穏分子を逮捕していた。そのため、国民の目を外へ向かす 必要があると内務大臣のガービッチか ら提言を受けたヒンケルは、隣国オストリッチへの侵攻を決断。その軍事資金をユダヤ人資本家から借りる必要上、ユダヤ人への迫害は中断された。

 突撃隊による嫌がらせが無くなり、ユダヤ人街は平穏な日々を迎えていた。そんな中、チャー リーとハンナは、お互いに惹かれ始めていた。
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 ヒンケル総統は相変わらず多忙な毎日。ある日、ガービッチに、「ユダヤ人を抹殺し て、 我々アーリア人で世界を征服すれば、あなたは神になる…」とそそのかされたヒンケルは、「一人にしてくれ」 と、ガービッチを部屋から追い出した。そして…。



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 地球儀の風船のシーン




 ハンナとのデートの前。ラジオから流れてくるブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」 に合わせて、客のヒゲを剃り、頭髪を整えるチャーリー。
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 ユダヤ人資本家から軍事資金の貸し出しを拒否されたヒンケルは、突撃隊長シュルツを呼び出 し、ユダヤ人襲撃を命じた。シュルツは、そんなことをすれば国民の信望を失くすと言って命令を拒んだため、収容所送りを宣告されてしまった。
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 チャーリーとハンナはデートへ。その時、街頭スピーカーからヒンケルの演説が流れきた。「ユ ダヤ人を抹殺せよ! 」。
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 2人は足早に帰宅した。
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 案の定、突撃隊が襲撃してきた。だが、シュルツの命令を思い出した隊員たちは引き上げて いった。
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 暫くすると、シュル ツが逮捕されたとのニュースが流れてきた。突撃隊員たちは、床屋のせいだと再び襲って来た。チャーリーとハンナは屋上に避難したが、チャーリーの店に 爆弾が投げ込まれ、店は全焼してしまった。ハンナは、オストリッチへ逃げて一から出直そうとチャーリーを励ました。
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 シュルツがユダヤ人街に逃げ込んで来た。彼は官邸を爆破してヒンケ ル を暗殺する計画を立てたが、その為に誰かが犠牲にならなければならない。5人のユダヤ人男性にお菓子が配れた。その中の1つに銀貨が入っており、それ を 食べた者が暗殺実行犯として命を 捧げることになる…。
 しかし、この計画に反対していたハンナは、全部のお菓子に銀貨を入れていた。
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 数日後、シュルツを捜索しにユダヤ人街に乗り込んで来た突撃隊によって、シュルツとチャー リーは逮捕され、収容所へ入れられてしまった。
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 身の危険を感じたハンナは、家族や仲間たちと一緒にオストリッチへ亡命し、チャーリーには 手紙でその旨を伝 えた。
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 軍備が整い、ヒンケル総統はオストリッチへの侵攻を宣言したが、近隣のバクテリア国が先手 を打って国境に軍隊 を配備していた。
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 バクテリア国の独裁者ナパロニか ら、オストリッチについて協議したいとの電話が入り、ヒンケ ルはナパロニをトメニア国へ招いた。
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 ヒンケルとガービッチはナパロニを丸め込もうとしたが、ヒンケルを「ヒ ンキー」と呼び、マイ・ペースを崩さないナパロニとの交渉は難航した。
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 トメニアがオストリッチに侵攻しないとの協定書に署名すれば、軍隊を引き上げると言うナパ ロニに対して、ヒンケルは最初から協定を反故にする腹づもりで署 名 することにした。
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 オストリッチ侵攻の日。収容所では、チャーリーとシュルツが将校の制服を盗み、脱走に成功 していた。そして、カモ狩りを装って、オストリッチとの国境付近に待機していたヒンケルは、脱走したチャーリーと間違われ、自国の兵士に捕まってしまっ た。
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 トメニア軍の侵攻が始まり、オストリッチは占領されてしまった。ハンナの暮らしている葡萄 園にもトメニア軍の兵士が現れ、抵抗したハンナは殴り倒されてしまった。
 将校の制服を着て逃走中のチャーリーは、ヒンケル総統と間違われ、シュルツと一緒にオスト リッチの広場に連れて行かれた。
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 オストリッチの広場には何万人もの人々が集まっていた。チャーリーは同国の新たな征服者、 ヒンケル総統として、国民に向けて演説をしなければならない状況に追い込まれた…。
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   主な出演者など 

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チャーリー、ヒンケル役チャールズ・チャップリン
ハンナ役ポー レット・ゴダード
シュルツ役 … レジナルド・ガージナー
ガービッチ役 … ヘンリー・ダニエル
ナパロニ役ジャック・オーキー

 ・チャップリンが、『モダ ン・タイムス』(1936年)以 来、4年ぶりに発表した自身初の全編トーキー作品。
 チャップリンは150万ドルもの私財を投じたが、彼の作品として最大のヒット作となっ た。
 (右の写真)左から、ジャック・オーキー、ポーレット・ゴダード、チャップリン。『独裁者』 のプレミア試写会時。
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 ・チャップリンが、お馴染みの山高帽にステッキのスタイルで登場する最後の作品。
 (左の写真)ポーレット・ゴダード、チャップリン

 ・世界は我がものとば かりに地球の風船を弄ぶ独裁者ヒンケル。最後に風船が破裂してしまうのは独裁者の末路を暗示しているのか。この発想、この動き。やっぱりチャップリンは天 才
 
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The_Great_Dictator-3  ・シュルツの裏切りには「なぜ私を見放した」 と嘆き、ナパロニには押しまくられ、ガービッチには操られているヒンケル。1人で地球の風船と戯れ、ユダヤ人抹殺の演説をした日の 夜には、1人でピアノを弾くヒンケル。
 チャップリンは、独裁者を<裸の王様>ならぬ、孤独な<裸の独裁者>として茶化して見せた。

 ・ラストの床屋のチャーリーの演説シーン。映画の台詞ではあるが、偉大なチャップリン本人 のメッセージであることは間違いない。
 ‟ハンナ”が、チャップリン最愛の母親(1928年没)の名前でもあると知って観ると、よりチャップリ ンの強い思いが伝わってくる。
 何回観ても、チャップリンと字幕に目が釘付けになってしまう。
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The_Great_Dictator-11  ・アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、助演男優賞(ジャッ ク・オーキー)、脚本賞、作曲賞の5部門でノミネート。
 作品賞の有力候補とされていたが受賞ならず。当時、アメリカは第2次世界大戦への参戦ムードが高まっていたため、戦争を批判している本作は敬遠された と言われている。
 チャップリンは、ニューヨーク映画批評家協会賞の主演男優賞を受賞した。

 ・本作公開時、チャップリンは51歳。チャップリンの4日後に生まれ、1945年に自殺し た 独裁者ヒトラーは、この作品を少なくとも2回は鑑賞したと言われている。

 ・日本では20年後の1960年に公開され、その年のキネマ旬報ベストテンで、『甘い生活』、『太 陽がいっぱい』等を抑えて、第1位に選出された。
 (右の写真)左から、レジナルド・ガージナー、チャップリン、ヘンリー・ダニエル
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本編にはなかった幻のシーン

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